2012年12月20日木曜日

中国海軍の位置づけ:指導者はただ増強しているだけのようだ

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●17日、中国は経済発展や国際社会での存在感拡大を背景に着々と軍事力を高めていると考えられているが、海事に限れば、海上航行の安全確保や防衛を主としており、覇権を握るレベルに達していないという。写真は中国・海南省三亜市で撮影された中国人民解放軍海軍の艦艇。


レコードチャイナ 配信日時:2012年12月20日 6時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67624&type=0

中国は「海洋強国」たりうるのか?
海軍の方向性は米国の出方次第―海外メディア

 2012年12月17日、中国は経済発展や国際社会での存在感拡大を背景に着々と軍事力を高めていると考えられているが、海事に限れば、
 人民解放軍海軍の現状は海上航行の安全確保や外的攻撃の阻止を中心とするもので、海上の覇権を握るようなレベルに達していない、という。
 中国・環球時報が18日付で、国際関係・防衛関係専門ニュースサイトからの引用として伝えた。

 周辺諸国との領海問題を抱える中国。
 中国政府は現在、海軍を強化することで周辺地域的における発的な衝突に備えているかのように見える。
 しかし、長期的な観点に立つと、中国の指導者はおそらく、海軍の位置づけ確定できていないだろう。
 中国の海事戦略は一貫して、米国の姿勢に左右されてきた。
 米国がアジア地域に対する干渉を続けるかどうか、さらには、一部分の戦略的なエリアを中国に譲る気があるのかどうかにかかっている。

 中国政府の海事戦略は従来、
①. 「石油輸入ルートの安全確保」と
②. 「台湾情勢への対応」
という2つのテーマがあった。
 しかし近年は、3つ目のテーマ
③.「領有権争いにある海域での、未開発資源の保護」
が大きく浮上してきている。
 1950年代以降、人民解放軍海軍の役割は、受動的な国土防衛の色合いが非常に強かったが、80年代中期以降、前出のような新たな方向性が加わった。
 国防は依然として海軍の中心任務であるが、
1].台湾情勢への対応、
2].海上輸送ルートの確保、
3].近海の海洋資源保護
が最重要事項となった。
 今後はその目標が
4].遠洋にまで広がっていくこと
となるかもしれない。

 海軍への投資は潜水艇に対するものが大部分。
 海上艦隊に対しては、近代化や開発は実施されているものの、数量的増強はほとんど行われていない。
 このことは、
 海軍の主要な目標が強力な阻止能力を確立することにあり、海上の覇権を奪うことにはない
ことを表している。

 中国は軍艦建造で世界最多を誇る国のひとつではあるが、軍事力では依然として米国より相当の後れをとっている。
 従って、台湾や米軍の保護下にある東南アジア諸国に対し、中国政府は“冷戦式な”対応をせざるを得ない。
 東南アジアの戦略的情勢が変化するまでは、中国が「海洋強国」たるには不明瞭な立場にあることを意味している。




 中国の最近の動きは、戦前の日本の状況によく似ている。
 実力に見合わない要求を世界に行ったり、自らが世界一だと称したり、共産党と解放軍を、政府と軍部に比較してみるとけっこう似ているところが見つかる。
 これらから類推できることは、ある程度まで中国の今後が日本から見えてくることである。


レコードチャイナ 配信日時:2012年12月21日 5時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67659&type=0

海軍力高める中国、第二次大戦期の日本に似ている―スイスメディア

 2012年12月18日、環球時報によると、スイスのインターナショナルリレーションズ&セキュリティネットワークは17日、
 「中国は今や海洋大国なのか?」
と題した記事を掲載した。
 一部の専門家は中国の海洋戦略と高まる経済力から軍事力もそれに応じて増強され、次第に海洋大国になりつつあると指摘している。

 中国政府は突発的な事態に備えているように見えるが、これまで同様に海軍兵力をどのように使うのかはいまだ明確になっていない。
 長年にわたって中国の海洋における意識は「石油の国内供給」と「台湾海峡」の2点に注がれていたが、近年は3点目として「未開発の海洋資源」が浮上してきている。

 中国海軍の軍備増強は米国の軍事情勢をにらんだものとなっているが、中国が直面している状況は1941年の頃の日本とよく似ているという。
 短期的には米国に対抗できる力量を持ってはいるものの、長期的な戦いになった場合には中国海軍が米国の軍事力を打ち負かすことはできない。

 中国海軍は「海岸線の防衛」から「海洋の権益保護」と行動範囲を広げ、近海における能動的な防御態勢を向上させつつあるが、さらにその先の遠洋における行動は現段階では現実的ではない。
 中国は海軍艦船の建造が最も多い国にはなっているものの、将来的にも米国には及ばないとみられている。




サーチナニュース 2012/12/24(月) 12:49
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1224&f=politics_1224_007.shtml

防衛研「海の対立で解放軍出動も」、対応能力拡大が急務

  日本を含む周辺国との海洋権益の争いに、中国は軍事力を投入する可能性が高い
――防衛省防衛研究所はこのほど『中国安全保障レポート2012』を発表したが、中国網日本語版(チャイナネット)は同レポートを分析する記事を掲載した。
 
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  海上保安庁は19日、中国の「挑発」に対抗するため、予算を増やすよう申し入れた。
 日本の心配は心の奥底から発せられたもので、首相就任を控えた安倍晋三氏と密接な関係があると見る学者の宮家邦彦氏は、
 「2012年は、1945年以来、日本の民衆が初めて国土が物理的脅威を受けると感じた1年として刻まれるだろう」
と語った。

  韓国紙「朝鮮日報」は19日、日本は十字路に立たされており、平和憲法を改正し、軍事大国への道を歩むという行動は周辺国だけでなく、全世界からも警戒されていると伝えた。
 「ニューヨーク・タイムズ」は、日中間の争いに潜在的な「扇動者」が加われば、戦うか折り合うかは誰か1人にかかっており、それは首相に就任する安倍晋三氏であると論じた。

■防衛研究所: 解放軍の影響力が急上昇

  防衛省防衛研究所は19日、『中国安全保障レポート2012』を発表し、2012年度の中国の安全保障戦略と軍事面の動向について4章に分けて分析した。
 報告は、中国共産党第18回全国代表大会後の党・政・軍の関係の現状と調整に焦点を当て、軍事力と専門的水準の強化に力を入れるほか、国家戦略と外交政策の構築過程で、中国人民解放軍は影響力を急激に高め、軍隊と政府の政治面の調和も絶えず深めているとした。

  また、中国の海洋安全保障の政策を重点的に分析し、指導層の海洋安全保障に対する意識が高まるなか、中国は自国の海洋権益の防衛と拡大に力を入れていると強調。
 軍隊は中国の海洋防衛活動を主導すると同時に、国家海洋戦略の構築と海上防衛力の整備にも力を入れている。
 また、中国は紛争が予想される領域において海洋権益の維持活動を強化し、中国の海洋政策は国際社会と地域の安全に大きな影響を与えるだろう。

  防衛研究所は、中国が日本を含む周辺国と海上の主権を巡る争い発生時に軍隊を派遣する可能性があり、これは真剣に扱うべき重要課題だと指摘した。
 尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題と南シナ海問題で、中国政府の海上活動部門は合同演習や緊急事態への対策制定など、海軍と密接な協力を行っている。

  「産経新聞」によると、中国の軍事力が東シナ海で強まれば、南シナ海で示しているような強硬姿勢をとることになるため、レポートは中国海軍の動向に注目する必要性を強調している。
 また、これまでと異なり、今回のレポートは「軍事力の投入」への警戒に初めて言及した。

  防衛省が管轄する防衛研究所は、軍事に関する科学研究を行う自衛隊の最高機関であり、2年続けて『中国安全保障レポート』を発表した。
 山口信治教官は19日、「環球時報」の取材に対し、
 「これまでのレポートは主に中国の関連政策に重点を置いていたが、今回は政策制定の過程に重視している」
と話した。

  中国が軍事力を海洋権益の維持に投入する可能性があることについて、山口教官は、
 「レポートでは、他国が軍事力を投入した際に中国はようやく軍事力を投入するという条件付きであることが示された」
としたうえで、中国の軍事力より、海洋監視の動向に注目すべきだと強調した。

  さらにレポートは、中国も巡航戦略を見直して両国の緊張状態の進行を回避する姿勢を示していることにも言及。
 これは中国が軍事力を投入するという見方とまったく異なり、2つの可能性がともに存在するということになる。

  長期にわたって、中国は日本の尖閣諸島に対する実効支配を終わらせようとしてきた。
 「ウォール・ストリート・ジャーナル」は19日、防衛研究所の増田雅之主任研究官の言葉を引用し、中国が近ごろ争いの存在する島嶼に艦船を派遣しているのは、日本による実効支配を終わらせるための長期戦略の一部だと伝えた。

  さらに増田氏によると、中国は日本および米国と戦うことの危険性を理解しているため、情勢が悪化する可能性は非常に低い。
 最大の危険は中国の海洋監視船の編隊によるもので、中国は1000トン級の海洋監視船を20隻増やすことを計画している。
 増田氏は、海上保安庁が対応能力の拡大に真剣に取り組まなければ、力関係は中国に傾くことになるとの見解を示した。




【中国の外交文書:“尖閣は琉球の一部”】


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