2012年12月21日金曜日

中国動乱への序曲(2):大卒就職難

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●18日、中国社会科学院が発表した報告によると、ここ数年で、大卒生の心理状態に変化が生じていることが明らかになった。写真は11月末湖北省武漢市で行われた国家公務員試験。




レコードチャイナ 配信日時:2012年12月21日 18時8分
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就職難時代の大卒生、「親の七光り」現象に強烈な不満

 2012年12月18日、中国社会科学院が発表した報告によると、ここ数年で、大卒生の心理状態に変化が生じていることが明らかになった。
 彼らは、安月給の仕事につきながらも、さまざまな努力や工夫を凝らして己れの競争力を高めることは甘んじて受け入れるが、仕事や日常生活の各シーンで折につけて社会の不平等に直面することに、どうしようもない不満を感じている。
 このような現状において、大学生の就職難には、従来とは違った局面が生じ始めている。中国青年報が報じた。

 同報告は、985工程(世界一流レベルの大学建設のための政府プロジェクト、指定校は現在39校)に指定されている大学6校と一般大学6校あわせて12校の卒業生約6000人を対象に、2010年から追跡調査を行い、その結果を取りまとめたもの。
 調査は、アンケート方式と無作為抽出者への個別面談方式によって進められた。
 研究者は、政府が初めて大規模な大学募集定員枠を拡大した1999年度の入学生が卒業した2003年以降の、卒業生の就業・所得、生活状況・消費方式、恋愛・結婚・家庭、ネットワーク利用状況、対社会・政治観など各分野の実態を年度別に調査し、特に、彼らの就業状況とその満足度にフォーカスして研究に取り組んできた。

卒業生の就職対策に変化

 大学生は、就職という大きなプレッシャーに立ち向かい、自分自身の競争力を高めるために、共産党入党申請、公務員採用試験受験、各種資格試験受験、職場体験・インターンシップ参加、就職情報収集など、ありとあらゆる手段を講じている。
 大学生の共産党入党志願は非常に旺盛で、過去3年間に調査対象の12校を卒業した人のうち、約半数が共産党員だった。
 このうち、「985工程」指定校の学部卒業生に占める共産党員の割合は41%、一般大学は37%だった。
 これは、研究者の予想と大幅に違う結果だった。

 また、大学生は、各種クラブ活動やコンテスト、学生会への参加、表彰の獲得などの方法で、自身の総合的素養を高め、就職戦線に備えている。

「親の七光り」を頼る就職に不満の声

 ほとんどの大学卒業生は、何かしらの就職口を見つけることができる。
 だが、その半数は、
 「給料が低い」「待遇が良くない」
 「自分の専門を活かせない」
 「将来性がない」
など、自分の就職状況に不満を持っている。
 これにより、多くの卒業生が簡単に転職を繰り返すという現象が頻発する。
 卒業後半年以内に転職した学生の割合は学部卒業生で27%、短大卒業生では48%に達した。
 卒業後3年以内の転職となると、学部卒業生は61%、短大卒業生は79%。転職の98%は、自分から退職を申し出たことによるもので、雇用側が解雇したのではない。

 一方、より顕著な「不満」も卒業生の間に渦巻いている。
 2008年の金融危機以来、大卒生が仕事を選ぶ傾向に明らかな変化が生じた。
 彼らにとって最も理想的な就職先は、給料が高い外資系企業から福利厚生が充実し安定した党体制内部門(党・政府機関、国家機関、国有企業)に変わってきた。
 党内部門で働くためには、し烈な競争を強いられる。
 しかし、外資系企業の職を得る競争と異なり、党内部門への就職には、裏工作・賄賂工作・コネ利用など不正なルートが数多く存在しているのが現状だ。

 卒業生に言わせると、党体制部門で職を得るためには、「親の七光り」が必要不可欠という。
 これらの不正行為が実際にどれほど深刻なのかは明らかではないが、卒業生や親の立場からすると、このような風潮は日常茶飯事的に見られ、ほぼ全ての卒業生は自分自身・クラスメート・友人・知人・親戚の具体的事例を見聞きした経験があるようだ。
 親が「コネを持っている」「影響力がある」だけで、子供は公務員や国有企業の職員になることができる。この事実は、ほとんど全ての卒業生が認めている。

 親がコネや影響力を持っていないためにこうした職種をあきらめている学生や、公務員や国有企業職員の採用試験を受けたが合格しなかった学生は次々と、就業競争の裏にある「秘め事」に不平の声を上げ、採用された学生の家庭環境について、あれこれ憶測をめぐらせる。
 このような状況から、多くの卒業生は強い不公平感を感じると同時に、政府部門や国有企業の職員採用をめぐる公平性について、疑念を持つに至った。

 今回の調査研究の担当者は、
 「金融危機がもたらした生活費の高騰と不安定な就業状況は、この2年でますます激しさを増している。
 このような状況から、多くの卒業生は、自分の夢が実現するまでには、さらに多くの時間がかかると感じるようになった。
 中には、夢は夢のままで終わり、実現する日は来ないのではないかと悲観的な考えに陥る学生もいる」
とため息交じりに話した。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KM・編集/内山)


 知的人口が体制に不満をもち、流動人口が粗暴化する
 この2つが手を結ぶのは必然であり、それは即、動乱につながる。
 いいかえると、アジテータとデモ隊という公式が生まれる。
 中国の騒乱は身近に迫ってきている。
 当局はその国内に溜まった鬱憤のガス抜きをするために、周辺国への圧力を強めていく。
 中国はいま、確実に周辺国とトラブルと、国内の動乱という課題を目の前にしている。
 おそらくこれからは、逃げられない。 




レコードチャイナ 配信日時:2012年12月26日 13時2分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67823&type=0

大学生7割「自分は下層または中下層」―中国

 2012年12月25日、中国社会科学院がこのほど発表した「社会青書」の一部に、12大学の在学生・卒業生2000人以上を対象とした調査報告が掲載された。
 1980年代生まれと1990年代生まれの大学生は、押し並べて
①.就業に対する自信に欠け、
②.自分自身に対する満足度が低く、
③.「個性」を重視する傾向にある
ことが、同報告から明らかになった。
 また、回答者の過半数は
④.政治に関心があり、公的政策の意思決定に参与する能力を備えていると自負している
ことも判明した。
 中国青年報(電子版)が伝えた。

■大学生の自分に対する満足度、
 持ち家の「ある・なし」が決め手

 今回の調査は、12大学の在学生と卒業生を対象に実施された。
 有効回答者は2126人、このうち1980代生まれが全体の7割、1990年代が約3割を占めた。

 就業と現在の自分に対する評価において、2012年の学部卒業生のうち、
 就職口を見つけることができた人は76.6%にとどまった。
 在学生は就職の見通しについて決して楽観視しておらず、
 「順調に就職が決まると思う」と答えた学生はわずか3割だった。

 1980年代・1990年代生まれの卒業生の大多数にとって、転職は日常茶飯事になっている。
 2011年の学部卒業生のうち、「1、2回仕事を変えた経験がある」人は6割を上回った。
 就業問題は、「自分の現状」に対する満足度と直接深い関係がある。
 在学生のうち、自分の現状に「ほぼ満足している」人は2.4%のみ、卒業生になるとこの割合はさらに低く、1.6%だった。

 統計データによると、社会人になって3年を経過した時点で、自分名義(既婚の場合は配偶者名義も含む)の住宅を持っていない人の割合は 67.3%、社会人経験5年の場合は41.9%だった。
 報告は
 「持ち家がある卒業生の自分の現状に対する満足度は、持ち家がない卒業生に比べてはるかに高い」
と分析している。

 社会・経済的地位に関する大学生の自己評価も下がっており、
 自分は「下層」あるいは「中下層」に属すると考える大学生は全体の約7割
に上った。

■大学生の過半数、「政治に関心あり」

 報告によると、1980年代・1990年代生まれの大学生は、
 個人に対する社会保障や私有財産を非常に重視しており、さらには、
 かなり強烈な「個人主義」カラー
を打ち出している。

 統計データによると、在学生の63.9%と卒業生の69.8%は、
 「私有財産は国有財産や集団財産よりも保護されるべき」
という考え方に基本的に賛成している。
 国と個人の関係という点で見ると、
 「国や集団の利益のために、個人の利益を犠牲にするのはもはや時代遅れ」
という考えに「反対」「やや反対」と答えた人は48.6%にとどまり、「賛成」は40.5%、「分からない」は10.9%だった。

 また、1980年代・1990年代生まれの大学生は総じて、政治に関心があり、政治への参加意識や政治に関して論じる意識がかなり高いことが、調査によって判明した。
 在学生の63.4%と卒業生の60.7%は「自分には公的政策の意思決定に参与する能力がある」と自負していた。
 また、在学生の 66.8%と卒業生の65.3%は「自分には政府の行うことについて評価する資格がある」と考えていた。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KM・編集 /TF)


 「政治に関心があり、公的政策の意思決定に参与する能力を備えていると自負」
 「個性を重視する傾向」
 「就職できたのは3/4」
 「私有財産は国有財産や集団財産よりも保護されるべき」
 「自分には政府の行うことについて評価する資格がある」
 そういう
 大学生あるいは学卒者の7割が自分を「中層・下層」に属する
と考えているという。
 これもうとてつもなく危険な兆候とみていい。
 暴動のリーダーとなるべき素質が渦巻いている。
 政府はこういう大卒者を吸収すべき方策がないということは、野にトラを放つことになりかねない。


レコードチャイナ 配信日時:2012年12月25日 15時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=67805&type=0

中国の労働者人口、2013年にも10億人でピークに―中国メディア

 2012年12月22日、中国情報センターと中国社会科学院・社会科学文献出版社は、
 「中国の総労働人口は2013年にピークに達し10憶人を超えた後、徐々に減少する見込みで、就職難は少しずつ改善するだろう」
とする報告を発表した。四川省の地元紙・華西都市報が報じた。

 同報告によると、労働人口が13年にターニングポイントを迎え、今後の中国の発展に長期的な影響を及ぼすと見られている。

 同報告は、36歳以上の労働人口は増加を続けているが、20歳の新規労働者人口が10年より2年連続で減少していると指摘。
 研究員の試算によると、13年に20歳の新規労働人口は2077万人にとどまり、16~35歳の若年労働者人口が12年の2億2030万人から2億1700万人に減少する見込みで、「豊富なヒューマン・リソース」が一層貴重な資源になりそうだ。

 同時に、農村から移転可能な余剰労働力も減少を続けそうだ。
 統計データによると、11年、中国全土の流動人口は2億3000万人に達し、うち農村戸籍所有者が80%。
 生産年齢(満16歳以上)に達している流動人口のうち、1980年代生まれの新世代の出稼ぎ労働者がすでに半数を占めている。
 今後移転が可能な労働力は学校卒業者や技術の進歩が原因で余剰となっている労働者で、潜在能力は決して高くなさそうだ。

 就職難は全体的に徐々に緩和されると見られるものの、同報告は
 「13年、大学卒業生の数は前年より100万人多い700万人に達すると見込まれるため、同年、大学卒業生の就職は依然として厳しくなる」と指摘している。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KN・編集/内山)